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金剛流 能楽師 宇高竜成さん[Kaoriの『真善美』 文化人に会いたい 第1回目]

Kaoriの『真善美』
文化人に会いたい 第1回目
金剛流 能楽師 宇高竜成さん

第1回目は、金剛流 能楽師 宇高竜成さんにインタビューさせて頂きました。

能とは

奈良、平安時代から庶民の間で親しまれてきた歌舞音曲や神事の舞が集大成され、鎌倉時代後期から室町時代前期に能と言われました。民衆の芸能が室町時代に盛んになった禅宗や水墨画などの影響を受けたり、幕府や貴族に保護されて洗練されていきました。
主人公を演じるのはシテ方、その相手役を演じるのはワキ方、楽器を演奏するのは囃子方と、それぞれの役が専門職として分化しています。それぞれに流派があり、シテ方には観世・宝生・金春(こんぱる)・金剛・喜多の五流があります。

能の基本スタイル

顔に面、手には扇、そして美しい装束。囃子と謡いに合わせて優雅に舞います。

Q.若い世代でも楽しみやすい能の見どころとは

オキナという能面があるのですがバリや韓国の舞曲の面とよく似ています。同じ大陸から流れてきた証です。能もパフォーミングアーツの中で比較してみると面白いですね。

Q.公演など体力がいると思いますが何かトレーニングをされていますか?

特に何もしてないですがダーツバーに時々行きます。20代の頃 3年間毎日通ってました。能と同じでダーツもフォームが決まってます。精神状態が安定していなければフォームが崩れます。能とは違うのは点数が出ること。普段、点数をつけられるコトがないので点数がでるとスキッとします。

Q.初舞台は?

3歳です。初めて舞台衣装を着せられた時は「聞いてないよぉ」と思いました。


美しい装束は能の魅力のひとつ

Q.生まれた時から人生が決まってることに対しては?

やはり反抗期はありました。大学時代にバンドを組んでいましたし、オリジナルCDも出しました。ロック等の音楽にのめり込んだ時期がありました。違う音楽の世界を知り、わかったのですが能の詩が良いことに着付いたんです。能も見方によればロックですね。
未来がないと伝統はない。精神こそが伝統である。家元の言葉、確かにそうだと実感しています。

Q.日本人の美とは何だとおもわれますか

一つの道を極めようとするこだわりの気持ちや日常のちょっとした仕草に滲み出る心配りだと思います。ゴージャスな美しさよりシンプルな美しさがあると思います。
90歳なる大先輩が未だに舞台に対して真摯に向かわれてるのを見た時は日本人の美徳を感じます。

Q.文化を継承するにあたり、何か次のアプローチはありますか

能の垣根を外し、良さをシェアできるコミュニティを作る
能という日本のブランドを外国へ出す

取材を終えて・・

今回 能の体験教室を含めて取材させて頂いたのですが、竜成先生と一緒に謡った時、日本古来の美しい言葉が音となり共鳴し、とても心地良い感覚になりました。
日本の美しい言葉や所作を改めて感じさせられました。
能という文化から私たち日本人は精神性や美意識など学ぶことはまだまだありそうです。

インタビュアー

各務 香織 - Kaori Kagami -
文化ティーサロンITO salon de theオーナー
世界各地の厳選された高品質紅茶やハーブティーを通じて、人との繋がりや文化を広めるサロンを主催。

 

公演情報

インタビューさせていただいた宇高竜成さんがシテを務める公演が開催されます。
詳しくはこちらをご覧ください。
第十五回宇高青蘭能之会[2014年9月14日開催]

 

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投稿日:2014.09.05