”学生の街京都”。
そんな京都の秋を彩る学園祭、行かないなんてもったいなすぎる!
ということで今回から、2015年に行われる京都の学園祭を特集する連載をお届けしてまいります。
京都造形芸大編その1は『お化け屋敷』。
芸大生による本気のお化け屋敷のハイクオリティさとその秘密を取材してまいりました!
1960年代、ある大学に真面目で優しい美術教師がいた。
彼にはとても仲の良い美人の妻がいた。
だが、彼には作品に没頭すると周りが見えなくなる悪い癖があり、妻は夫を愛するあまり彼の造る作品に嫉妬さえ覚えるようになった。
妻は夫を振り向かせるために、整形することを思いつく。
しかし整形は失敗、「私を使って作品を造って・・・」と死の直前、夫に懇願し命を落としてしまう。
夫は彼女の願いを聞き入れ、作品に・・・。妻は自分だけを見てくれていることに満足し、霊となって作品とともに居続けた。
しかし。
妻を作品にしたことをきっかけに、夫は人を作品の素材に使う様になっていった。
初めはどこからともなく遺体を持ち帰っていたが、徐々に生きた人をさらい、妻が飾られているアトリエで作品を造り始めた。
霊となった妻の嫉妬は怨念となっていった。
ある日、夫は教え子を作品の素材にしようとアトリエに連れて来る。
怨霊と化した妻は、ついに夫に襲いかかる。
「どうして私だけを観てくれないの?」
以後、夫の姿を見たものはいない。
(「彼岸花」フライヤーより引用 )
ストーリーを読んだだけで、すでに背筋が凍りそうなこちらのお化け屋敷。
今回は特別に、たてこみ真っ最中の現場に潜入させていただきました!
先生「せっかくだから電気消してー。」
えっ。
そ、そこまでサービスしていただかなくてもっ。
先生「じゃあお化けもスタンバイしてくださーい。」
いやほら、皆さんまだ作業中ですし。
困りますよねえ皆さん(^^;;
(パチッ。)
ひいいいい!!
いや、ちょっと、あの、もう、取材とか言ってられない怖さなのですがっ
うわああ、天井までちゃんと作りこまれているから、視線の逃げ場が無・・・
(ドンッ)
ぎゃあーーー(@'Д@ ))!!!
(ガサガサガサッ)
うわあーーーーー((( iдi))!!!!!
・・・制作途中だったため解説だけの部分が多かったとはいえ、「え、そんなところから出てこられたら逃げ場ないじゃないですか!」や「あれ本番は動くんですか?!いやいや私泣いちゃいますよ!」の連続でした。
しかも今回はiPhoneのライトで照らしていましたが、本番はそんなものはなく、怖さ倍増になるのだそう。
さらに本番ではお客さんに、ただ歩いて回るだけではなく、ある”ミッション”が課され、それをクリアしないと出ることが出来ないのです。
スタートからゴールまで行くのにはだいたい5分程度かかるそうなのですが、「ううう、怖すぎて最後までたどり着ける気がしないよう。」という私のような人のために、リタイアコーナーも設けてあるとのことでした。
なるほど、それだけ怖さは本物だということなのですね・・・。
大瓜生祭で毎年恒例となっているこちらのお化け屋敷。
実はこちら「リアルワークプロジェクト」という授業の一環なのです。
授業参加を希望した学生が制作メンバーとなり、企画立案・広報・ストーリーの作成・建込み作業・チケット販売・当日の運営と役者、の全てが学生主体で行われます。
例えば「企画立案」の段階では、企画の軸となっている”怨霊”について深く知るために、怨霊にまつわる京都のお寺にフィールドワークへ行き、毎週の会議でアイテムや時代設定の案を出しあい、次の会議までにまたそれについて調べて持ち寄り、内容を詰めていきます。
こうして参加した学生は、先生の指導を受けながら制作を進めていく中で、社会で通用していくために必要な力やデザイン思考を養います。
今年のメンバーは34人の学生と2人のTA(ティーチング・アシスタント)。
そんなTAさんのお一人にお話しを伺ったところ、なんと元々はホラーが苦手だったとのこと!
実はスタッフの中にはホラーが苦手な人が結構いるのだそう。
TAさん「怖いのだめでしたけど、脅かす側にはなってみたいと思っていて。
そしたら、制作者側としての思考にどんどん変わっていって怖くなくなりました。
お化け屋敷入っても、ああこうやって脅かしてるのかとか考えるようになっちゃって。」
そんな創作活動に対する純粋な好奇心が、作りこまれたセットの隅々から感じられました。
去年のお化け屋敷の観客動員数は、なんと2日で約1750人!
約2分に1組のペースでひっきりなしにお客さんが入場するので、その間お化けはずっと脅かしっぱなしだったそうです。
と、ここで耳寄り情報です。
実は、朝にホラーというイメージがあまりないせいか、午前中はお客さんがそんなに多くなく、空いているそうです。
長く並ばずに楽しめる上に、まだまだ元気なお化けに出会うことができます。
しかし夕方のお化けも負けてはいません。
お客さんの動員数に比例してテンションが上がりまくり、演技がパワフルになるのだそうです!
優雅な朝か、カオスな夕方か。
お好きな方に足を運んでみてください。
また、昨年はリピーターの方も多かったとのことですので、強靭なハートをお持ちの方はぜひどちらにも挑戦して、骨の髄まで楽しんでみてください!
ゴールした後、お化け屋敷といえばやっぱり気になる”あのこと”について聞いてみました。
ーそれにしても、ここまで”怖い”を追求していたら、心霊現象とか起きないのでしょうか?
先生「ああ、起きます起きます。」
ーええ、なんでそんな冷静なんですか!!
先生「今日も僕のスマホのアプリが急に落ちましたよ。」
ーいやそんなよくあるみたいな感じで言われてもっ。
先生「練習中も、お化けが休憩行ってていないはずのところでちゃんとボランティアさんが入っててくれてたり」
ーいや確かにギャラいらない人かもしれませんけど!!
職員さん「だからちゃんと本番前と本番後におはらいしてもらいます。」
ーああ、良かった。やっぱり効くもんなんですねおはらいって。
職員さん「まあ、気持ちの問題です。」
ーひい(´Д` )!!
ということで、皆さんも運が良ければ親切なボランティアお化けさんと出会えるかもしれません。
お化け屋敷・ホラー好きの方はもちろん、芸大生の本気の作品を肌で感じてみたいという方は、ぜひチャレンジしてみてください!
【日程】9月19日(土)、20日(日)
【時間】10:00〜18:30
【料金】大人 500円、中高生 400円、小学生以下 無料
【京造見世物小屋Fasebookページ】https://www.facebook.com/kyozomisemono
【日程】09/19(土)〜09/20(日)
【住所】〒606-8271 京都府京都市 左京区北白川瓜生山2-116
【アクセス】市バス「上終町京都造形芸大前」下車すぐ
【HP】http://www.kuadfes2015.com/
投稿日:2015.09.18