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【連載】アフリカ最西端の国・セネガルから見た京都 第2回「タブーを比較する」

第2回「タブーを比較する」

活動の折り返し地点で見えるもの

まるでペット!?あちこちで羊が飼われています。これも日本とは違うなあ。

bonjour!

青年海外協力隊としてセネガル共和国で活動中のAWAです。

セネガルでボランティア活動をはじめて、1年2か月が過ぎ、いよいよ折り返し地点です。

日々暮らしていると、日本とのちがいを感じることがたくさん!
そして生活のなかで、気を付けなければいけないこと、
すなわちセネガルにおけるタブー(禁忌)が見えてきました。

連載第2回は、京都からもう少し視野を広げて、1年セネガルで生活したからこそ見える、タブーを日本と比べてみました。

 

セネガルと日本 3つのちがい

その1:あいさつのときに握手をする

顔を合わせたらまず手を差し出します。



セネガルでは、あいさつのときに握手をする習慣があります。
朝、出会ってあいさつをするときにはかならず握手。
もしもその日に再び顔を合わせたとしても、もれなく握手がついてきます。
※一部、男女間での握手をしないという場合もあるので、注意が必要。

⇒[比較]日本では?
・初対面のとき
・ビジネスなどを結ぶとき
・何らかの成功をおさめたとき
・お別れのとき etc


しかし、この握手にはタブーがあります。
必ず【右手】をつかうことです。

ひとに物を渡すとき、飲んだり食べたりするときなども、右手を使います。
でも、左手を使ってはいけないということではなく、例えば料理をするときに左手で食材を持って切る姿はよく見かけます。

日本では、片手を添える、また両手を使う、という所作が多いので、最初はとても違和感がありました。

ただ、お別れのときにだけ、左手の握手が存在します。
また会えることを祈って、いつもの右手ではなく左手で握手をするそうです。

わたしは握手をすることにすっかり馴染んでしまいました。
任期を終え、日本に帰国したあとも、ついつい手が伸びてしまいそうです(笑)
 

その2:食事を手で食べる

ひとくち分を掴んで、2回手首を振り、ご飯粒をそぎ落としてから食べます。



日本だと「行儀が悪い!」と叱られてしまいそうですね。
でもセネガルでは、手で食べるのが一般的です。

また、セネガルの食事は、「チェブジェン」と呼ばれる炊き込みご飯がメイン。
ドカンと盛られた大皿を床に置いて、
みんなで輪になって食べます
 

⇒[比較]日本では?
・お箸を使う
・反対の手でお茶碗を持つ
・食器をテーブルの上に置く etc



しかしながら、周囲を見ていると、手を使うのは、主に女性と子ども
女性といっても比較的若い女性はスプーンで食べていることが多いようです。

わたしは、外国で生活をするからには、いろんな文化を体験したい!と願っていたので、食事は毎日手で食べています。
食べるときには、その1で触れたように、必ず右手を使います。

最初は、うまくごはんが握れなくて、苦戦しました。
それでも最近では、セネガル人から「だんだん手で食べるのが上手になってきたね!」と褒められるようになりました(笑)
 

その3:女性は足を見せない

さて、筆者AWAはどこでしょうか?



セネガル女性の民族衣装は、カラフルなアフリカ布を使った「タイバース」と呼ばれるセットアップドレスです。
ボトムスはスカートなのですが、必ずロングスカート、しかもいわゆるマキシ丈です。

女性が足を見せることは禁じられていて、確かにほとんど見たことがありません。
ときどき観光客の外国人が短いスカートやショートパンツを穿いているところも見かけると、おっ・・!?と気になってしまいます。



⇒[比較]日本では?
・ミニスカートにショートパンツ、よく見かけますね
・制服となると少しは制限がかかるかな etc



しかしセネガルの若い女の子の中には、膝丈のスカートやスリットの入ったスカートを穿いていることもあります。

そしてよくお母さんやお父さんに小言を言われているところを見かけます(笑)

その代わりといっては何ですが、胸を見せることにはあんまり抵抗がないようです。
といっても、残念ながら破廉恥な意味合いではありません(笑)

赤ちゃんを抱いたお母さんがおもむろに授乳を始める…
学校から帰宅した途端に目の前で突然着替えを始める…

なんてことは日常茶飯事なのです。

最初は目のやり場に困りましたが(笑)、セネガルでのよくある風景で、文化のちがいもさることながら、羞恥を覚えるポイントのちがいを感じます。
 

まずは知ることからはじめよう

1日5回、モスクから礼拝への呼び掛けが鳴り響きます。



日本で当たり前にしていた所作を注意されたり…
はたまたそれはいけないでしょ!?と思うような事柄がまかり通っていたり…
外国での生活は驚きの連続です。

正直なところ、「そんなの知らない~!」「日本とはちがう~!」と感情的になってしまうこともしばしば。
しかし、知らないタブーを避けることは出来ないし、知らなかったことを責めることも間違っているのではないでしょうか。

セネガルでは、国民の95%がイスラム教徒(※)であることから、宗教による戒律が影響していることが多いようです。
でも宗教が異なるから関係ない、というのでも、良い・悪いという問題でもなく、「ちがい」を知り合うことが必要なのではないかなと思います。

これは身近にいるセネガル人から学んだこと

だからこそ、外国に足を踏み入れるときには、その国の文化をすこーしだけでも事前に調べて、知識としてストックしておくことが大切ではないかな、と思います。

(※)外務省 セネガル基礎データを参照
 

タブーを守ることは、心づかい

学校や役所などの公共施設には必ず国旗が掲げられています。



セネガルでのあいさつの際に、背筋を伸ばしたまま両足の膝を軽く曲げるという女性のみが行う所作があります。

私がその動作をすると、相手のセネガル人から「知ってるんだね!」と、とっても喜ばれます。

たとえば、日本にやってきた外国人が、

室内に入るときに靴を脱ごうとしたら…
食事前に「いただきます」と手を合わせたとしたら…

ちょっと嬉しくありませんか?

今回取り上げたものは、タブーというよりはマナーの意味合いが高かったですが、タブーを守ることは心づかいのことなのかもしれないなと感じています。

あれもいけない、これもいけない・・と、タブーを恐れて、凝り固まってしまうよりも、
知るためのほんの少しの努力をすることと、
知るたびに受け入れていくことで、
今後も相互理解を深めていければいいなと思っています。
 

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投稿日:2017.03.30