とても長く感じた夏が終わり、京都にもようやく秋がやってきましたね。
京都の秋といえばやはり紅葉でしょうか。
高台寺、永観堂、東福寺、、、などなど京都には多くの紅葉スポットがありますが、皆さんはこの秋どこか紅葉を見に行く予定などありますか?
今回はそんな京都の数ある紅葉スポットの中でも、私が特に推している「源光庵」を紹介したいと思います。
源光庵は京都市北区鷹峯にある曹洞宗の寺院です。
源光庵という名前に聞き覚えがなくても、この特徴的な丸い窓と四角い窓はテレビやポスターや雑誌などで見たことがある、という方もいるのではないでしょうか?
この2つの窓はそれぞれ、「悟りの窓」、「迷いの窓」と呼ばれ、それぞれに仏教の概念、禅の境地の意味が込められているそうです。
「迷いの窓」(写真右側)
迷いの窓の四角い形は、人間が誕生し、一生を終えるまで逃れることのできない過程、つまり「人間の生涯」を4つの角で象徴しています。この「迷い」とは「釈迦の四苦」のことで、この窓が生老病死の四苦八苦を表しているといわれています。
「悟りの窓」(写真左側)
悟りの窓の丸い形は、「禅と円通」の心が表されています。ありのままの自然の姿、清らか、偏見のない姿、つまり悟りの境地を開くことができ、丸い形(円)は大宇宙を表現しているといわれています。
私が行った時はまだ紅葉の時期には早く、緑の庭が広がっていましたが、紅葉の時期になるとこの窓からこのような素敵な景色を眺めることができます。
紅葉の時期は参拝客が多くなるかもしれないので、なかなかこうはいかないかもしれませんが、この窓の前は広くスペースが開いているので2つの窓を眺めながらゆっくり物思いに耽るのもいいかもしれませんね。
私が行った時も、カメラ片手に写真を撮りに来ている方や窓を眺めながらゆったりとした時間を過ごしている方など、思い思いの時間を過ごしていました。
皆さんもぜひ源光庵で窓から紅葉を眺めるという一風変わった紅葉を楽しんでみてはいかがでしょうか?
ところで皆さん、こんな源光庵にはもう一つ見どころがあるのを知っているでしょうか?
それはなんと本堂の天井にあります。
実は源光庵の天井にはところどころに血痕や血の手跡や足跡が残っているのです。
この天井は「血天井」と呼ばれ、知る人ぞ知る源光庵のもう一つの見どころとなっています。
ではなぜ、こんな寺院の天井に血の跡が残っているのでしょうか、それにはこんな逸話があります。
時は関ケ原の戦いの直前の慶長5(1600)年、京都・伏見桃山城の留守居を任されていた徳川家康の忠臣である鳥居彦右衛門元忠の一党の約1800人が、石田三成の軍勢9万と交戦し、多くの武将が討死しました。生き残ったおよそ380人全員も自刃し、流れた血痕が床に残されました。そして、鳥居元忠達の遺骸は関ヶ原の戦いが終わるまで約2ヶ月もの間、伏見城に放置され、その血痕や顔や鎧のあとが縁側の板に染み付き、いくら拭いても洗っても落ちなくなったそうです。そこで、亡くなった一党の魂を冥福しようと、血痕の残された床板は5つの寺院にわけられ、一部が源光庵にも奉納されました。その際に、床を足で踏む床板にしては供養にならないからと、床板を天井にあげ、一党の魂を手厚く供養しているものが、いわゆる「血天井」として今も残っているとのことです。
一応、寺院の中にこの経緯を書いた詳しい説明書もありましたので、興味のある方はご覧になって下さい。
ぜひ源光庵に来た際には、窓から紅葉を眺めるだけでなく、たまには天井も見上げてみて下さいね。
「鷹峯源光庵前」というバス停から徒歩1分ほどなのでバスで行くことをお勧めします。
その1 京都駅から地下鉄烏丸線に乗車して「北大路駅」下車、そこから市バス北1系統に乗換えて「鷹峯源光庵前」下車
その2 京都駅からJR山陰本線に乗車して「二条駅」下車、そこから市バス6系統に乗換えて「鷹峯源光庵前」下車
投稿日:2017.10.18