京都の知る人ぞ知るトガッたお店を紹介していく「京都のトガッた店MAP」が今回からスタートです!
普通のお店とは一味違う、何かが決定的に違う、そんな京都のトガッた店を毎回取り上げてまとめ、地図を作っていこうという企画です。
第一弾は、立ち飲みのお店”カドヤ”。
京都の名物銭湯”船岡温泉”のすぐそばにあり、おいしいたこ焼きをお供に昼飲みができちゃうという、なんともありがたいお店です。
しかもこのお店、なんとあの超人気お化け音楽フェス”フジロック”にも出店しているという強者なのです!
今回は「豪快さ」と「軽快さ」を併せ持つ店長の愛一朗さん(通称:あいさん)に、カドヤのトガッたエピソードを根掘り葉掘り聞いてまいりました!
カドヤというお店
ーカドヤの由来はなんですか?
あいさん:角にあるから。
ーどうしてこの場所なんですか?
あいさん:昔は隣の”月光荘”っていうゲストハウスで働いてて、その時に倉庫やったこの物件が空いて、改装してん。
ー元々は倉庫だったんですか!では店内の広さは?
あいさん:2坪くらい。
とんがりポイント1 たった2坪の店内にさらに所狭しと並べられている漫画。
ー店内に入れるお客さんの最大の数ってどれくらいですか?
あいさん:15人くらいかな。夜のお客さんが多い時はカウンターが連結して付け足し可能だから、昼よりも長く使えるねん。
ーカドヤで一番お客さんが多い時間帯っていつくらいですか?
あいさん:夜の12時くらい。昼間の時間はわりとゆっくりやってる。
ーたまに夜もやってらっしゃいますが、どんな風に決めてるんですか?
あいさん:やれそうな日。
ーカドヤで一日出店される日もあれば、他の場所でお料理されてたり。一体あいさんは何時に起きて何時に寝るんですか?
あいさん:寝ること無いなあ(笑)。
ー他のお店で床に寝てるあいさんを見たことがあるのですが、寝るときは寝ようと思って寝ているのか、知らん間に寝てるのかどっちですか?
あいさん:気絶やね。
ー体内時計が1日24時間じゃないですよね(笑)
あいさん:そうやね。倒れるときに寝るっていう。
ー平均何時間くらい寝てるんですか?
あいさん:ばらばらにしてるかなあ。夜寝ない時も多いし、昼間にちょっと寝る時もあるし。
ー昼間にお店をするときは早起きしないとですよね。何時くらいに起きてるんですか?
あいさん:「8時の時点で起きてる」っていうのは自分の中で決めてて。そっから逆に寝ることもあるし。そのまま夜の延長で続いていることもあるし。
ー寝たらちゃんと目覚める人ですか?
あいさん:そうやね。朝はげんきやで。二日酔いが無いし。
ーえ、二日酔いしたことないんですか?
あいさん:二日酔いはほとんどないね。どんだけ飲んでも朝には元気になってる。便利な体で(笑)。元々月光荘やってる頃が8時オープンやったから、8時に起きるっていうのが体に染み付いてて、別にアラームかけてるわけじゃないんやけど、必ず気絶してても目が覚める。
ーメニューはなんでたこやきなんですか?
あいさん:たこやきが昔から好きで。夜の焼き鳥も、自分が焼き鳥を食べながらお酒飲むのが好きやから。つまみ何にしようかなーってなったときは、じゃあ、焼き鳥がいいやって。たこやきも昼の店やるんやったら、まあたこ焼き食べながらのんびりできる店にしようかなーみたいな。
ーじゃあメニューっていうのは、あいさんが好きなものを置いているという感じですか?
あいさん:しか置いてないかなあ。
とんがりポイント2 店長の好きなもののみで埋め尽くされた激ウマメニュー
ーじゃあお酒も焼酎が一番好きですか?
あいさん:そうそうそう。
店舗外のイベント
ーいつくらいから出張みたいなイベントってはじめてるんですか?
あいさん:出店は、たこ焼きが一番最初で10年前くらいかな。住んでるところの近くでお祭りがあるときにちょうど出してる感じだった。本格的にやり始めたのは京都来てから。
とんがりポイント3 設営としこみには一切手を抜かない。
ーフジロック、やっぱりお客さんは、今年が一番多かったですか?
あいさん:今年が一番多かったね。
ー年々増えていっているんでしょうか?
あいさん:そうやね、1年目は今と出店形態が違ったんやけど、2年目からの屋台はでかいの組むようになって、一気に人が増えて、で去年の評判があるから今年いっぱい人来てくれて。
ーそこから来てくれるお客さんもいますか?
あいさん:いるいる。(フジロックのお客さんは)関東の人がほとんどなんやけど、それでも来てくれる。京都来た時とかに。
ーフジロックきっかけの常連さんもいらっしゃるんですか?
あいさん:イベントの時とかに来てくれるお客さんもいるし、東京でイベントした時すーごい人来てくれたし。
カドヤのリクルート情報
ー”カドヤ就職”の制度があるって聞いたんですけど、どうゆう制度なんですか?カドヤって新卒取ってるんですか?
あいさん:制度ってほどのものじゃないけどね。今度来てくれる子は完全にその子から言ってきたよ。
ーじゃあ大々的に募集してるわけじゃないんですね?
あいさん:そうやね。あんまり募集かけて来たっていう人はほとんどいないし。募集かけても来ないし、募集かけてないけどいきなり連絡してくる人もいるし。あとはもうこうやって話しててお客さんで来てくれた人にもうそのままスカウトする。
ースカウトする基準や理由はなんですか?一人でやっててもいいじゃないですか。
あいさん:キャラクターを見てやね。広がるやん、人が増えるだけで、色が増えるというか。自分一人やったら、この店ひとつしかできないけど、何人かいれば、別のこともできるわけで。店番してくれる人がいれば、俺が他で色々できたりとか。
え?無人立ち飲み?!
ーカドヤに来たお客さんにどう思ってほしいとかってありますか?
あいさん:ありますよ。今お客さんいるからめっちゃ恥ずかしいけど(笑)。うちはこんな感じで距離が近いやん?うちらとお客さんの距離もお客さん同士の距離も近いから、ここに来た人間同士が仲良くなって、ウチの外でもつながっていけるような店になってくれたらなあ、と。あとちょっとそれプラス、自分の思ってる考えみたいなのを、お店の雰囲気であったりとか、やり方に出していければと。そう言う意味での、一般的に正しいとされてる接客ではない、”人間”対”人間”の付き合いというか。そうゆうところを伝えていけたらなあというのは。
ーフジロックの間に、ここに賽銭箱だけ置いて、カドヤのもの自由に食べていいよっていう日あったじゃないですか。そうゆうのって本当に信用してないと無理じゃないですか。
あいさん:無人立ち飲みでしょ(笑)。それも、そうゆうことをやることで、そうゆう世界観もあるということを出したいし。うちはお客さんと言い争いをすることが多い店で。まあ普段はささいなこととか多いけどね。よくあるのは「俺はお客さんだぞ」みたいなのを言ってくる人に対して、「いやうちはそうゆうことでやってないんで」って言って何人も返したりとか。昨日も話をしてて、来るお客さんって言っても”人間”対”人間”として別に偉そうにしないし、かといって敬いもしないし。こっちが作ってる場を気に入ってくれたら来てくれたらいいし、気に入らなかったら来てくれなくていいと思ってるから。
とんがりポイント4 店員がいなくてもお店が回る。
ーじゃあ「お客様は神様理論」は無いんですか?
あいさん:それは全然ないね。やっぱり対等やと思ってるしね。お金はもらってるけど、こっちも代わりになるものを出してるから。うちは社会的な「こうしなきゃいけない」みたいなルールを俺があんまり好きじゃないから。「そうじゃないでしょ?」っていうのを、このお店で表現できたら。まあそこは別にそこまで大事なとこじゃないけど。
ーあいさんが”対人間”で一番大事に思ってることってなんですか?伝えたい思いとか。
あいさん:この店で表現したことだったら、例えばこの社会ってものがあるじゃないですか。その中で皆就職して、まあ、会社に入って、ある時期になったら結婚して子どもができて、でまあまあ子ども育て終わって、リタイアして、老後を過ごすみたいな、こうマニュアル的生き方みたいなんあるやん。別にそんなものは、ねえ、ここ最近のもので、別に大しておもしろいもんじゃ無いと思うし、なんか本来のものではないと思ってるから。なんかもっと、人間らしくじゃないけど、色んな人がいんねんから、別に同じ枠にはまらんで色んな生き方をしたらいいんじゃない?っていうところを、こう話しながら、うちの店のやり方を見せることでも感じさせれたらいいなあっていう。
味にこだわる。場所はとびまわる。
ー料理って元々されてたんですか?
あいさん:一応店で働いたりはしてたけどね。飲食の店、ラーメン屋で修行したり、イタリアンで働いたり。あと自炊をしてたから自分で作ったりとか。そんなに料理の修行っていうのは本格的にしたことはないけど、自分で店やるんやったらね、こだわらんかったらおもしろくないじゃん。
ーたこ焼きもどこかで修行されたんですか?
あいさん:これは完全にオリジナルやね。まだまだおいしくしていきます。
ー楽しみです!8年京都にいらっしゃるじゃないですか。今後他に行きたい所とかってありますか?住みたいとかここで店やりたいとか。
あいさん:名古屋とか、九州福岡とか、愛媛、香川四国とかでやろうと思ってる。
ー京都は残してですか?
あいさん:ここはここで残して。
ーカドヤっていう名前で?
あいさん:いや、カドヤっていう名前で広めるのはなんかあんまりよくないなあと思うから、場所場所で。同じことやってたら飽きるし、その場所場所で、できることというか、こうゆうこともやってみたいなあっていうのを。
空間は作るもの
ーいつもカドヤではどうゆう感じで音楽流しているんですか?
あいさん:好きで、店の雰囲気に合うもの。けっこう自分の中でその雰囲気っていうのが幅広いから。昭和歌謡ばっかりのときもあるし。自分の作りたい雰囲気で曲を流さないと意味がないので。だって空間作ってるからねうちらは。
ーどんな人が来てくれたら楽しんでくれるかなとかってありますか?
あいさん:逆に、どういう人って限らずに、色んな人に来て欲しい。来る人の種類が増えればもっとカオスになるし。”変わった人”だけ来て欲しいってわけじゃないんだ。けっこう色んな人が来るから、色んなジャンルの人が来るし、夜とかなんかカオスな感じに。それがうちのおもしろいところじゃないかなー。
トガッたエピソードベスト3
3位「夜11時くらいに帰ってきたらバーテンが店の外で寝てた(よくある)」
あいさん:バーテンが誰よりも酔っ払って起こった事件。去年までは曜日毎に日替わりでバーテンをやってもらってて、その店長たちっていうのが癖のある人ばっかりやったから。今の形態になったのは去年の5月からかな。
2位「目の前で付き合い始める」
あいさん:トイレから帰ってきたら付き合い始めてた。なんかいないなーと思ってたら、手ぇつないで帰ってきて、付き合ってた。
1位「台風で店が崩壊する。」
あいさん:台風の時にここの扉が一斉に4枚くらい飛ばされたことがある。風が吹くと開くから、前もっと弱い扉やってん。でこの開いたショックで同時にこの4枚が全部とんでいくみたいな。
こうして、おいしいたこ焼きとおビールをいただきながらゆるゆると取材させていただきました。
なかなか雰囲気の濃ゆいお店ではありますが、現役女子大生の私でも気軽に立ち寄れるポップさも兼ね備えている不思議なお店です。
皆さんも船岡温泉とセットで楽しんでみては?
さて、次回はどんなトガッたお店に行くのかは、まだ秘密です。
基本情報
カドヤ
【住所】
京都府京都市北区紫野南舟岡町73-18
【アクセス】
地下鉄「鞍馬口駅」よりタクシーで5分
市バス「建勲神社前」より徒歩5分
【電話番号】
090-5294-4378
【HP】
「立ち飲み カドヤ」Facebook
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投稿日:2015.08.25