競馬場で走る馬のふるさとは?
突然ですが、みなさんは京都に競馬場があるのをご存知でしょうか?
京都の繁華街からは少し離れていますが、京都市の南端である伏見区の横大路運動公園の南、京阪電車の淀駅からすぐのところにあります。祇園四条駅からは約40分です。
京都競馬場では、1月〜2月、4月下旬〜5月、10月〜11月の土日にレースが開催されます(祝日開催もあり)。レースに出走する馬は、1日に150頭以上、多いときには200頭近くになりますが、これら馬はどこで生まれ、育てられているのでしょうか?
日本の競走馬の約98%は北海道で生まれる
競走馬の生産地は「馬産地」と呼ばれますが、日本での生産頭数は年間約7,000頭、そのうち約98%が北海道で生産されています。
【参考】
2017年の生産頭数(速報値) - 軽種馬登録ニュース(2017/09/11) | 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル
北海道以外では東北や九州などでも競走馬が生産されていますが、ディープインパクト、オルフェーヴル、キタサンブラックなど、上位のクラスで活躍する馬のほとんどが北海道産であり、現在は生産頭数と競争能力の両方で北海道が抜きん出ている状況です。
馬産地を目指して北海道へ!
このコラムを書いている私は競馬歴がまもなく8年の競馬好きですが、これまで馬産地には行ったことがありませんでした。しかし、今回馬産地に行く機会ができましたので、さっそく北海道へ出発です!
京都から電車と飛行機で新千歳空港へ
京都駅からJRの特急「はるか」で関西空港へ行き、飛行機で新千歳空港へ。
実は飛行機に乗るのが10年振りぐらいだったのですが、最近は低価格のLCCが就航していたり、スマホでチェックインできるチケットレス化も進み、一昔前と比べると飛行機に乗るのも便利になりました。
新千歳空港に着くと天気は雨でした…
バスで日高地方へ
ここからとあるツアーに参加します。バスで移動開始!
まずはノーザンホースパークで昼食を取ります。
ノーザンホースパークは観光で行ったことがある方も多いと思いますが、実は競走馬の生産・育成を手がける社台グループの施設で、ノーザンホースパーク内には社台グループの活躍馬に関する展示を行っている建物があります。また近くには、競走馬の育成を行っているノーザンファーム空港があります。
しかし、今回の目的地は社台グループではない生産牧場なので、昼食が終わると足早に移動となりました。
ここからバスはJR日高本線に沿って進み、日高地方を目指します。
新冠町・サラブレッド銀座
ノーザンホースパークから2時間ほどバスで走り、新冠町に着きました。
ここは、道道209号に沿って多数の牧場があることから「サラブレッド銀座」と呼ばれています。マイネル軍団でおなじみのビッグレッドファームや、種牡馬が繋養されている優駿スタリオンステーションもサラブレッド銀座にあります。
サラブレッド銀座駐車公園からは、放牧されている馬を見ることができました。
残念ながら空は雲に覆われていますが、晴れていればスカッとした青空が広がるはず…
1歳の馬を見学
ここでとある牧場にお邪魔して、馬の見学をさせていただきました。
こちらは1歳馬で生後1年4ヶ月ほどになります。
1歳といえども馬の体重は400kg前後になるため、蹴られたりすると大変危険です。少し離れたところからの見学となります。
十分な大きさがあるようにも思えますが、これでも競馬場で走っている馬と比べると少し小さめです。また、人を乗せて走る訓練(馴致と言います)が行われていないので、人を乗せて走ることもできません。レースデビューできるのは2歳の6月以降になるので、これから約1年間は馴致や調教などの育成が続きます。
その後も、新ひだか町や浦河町で多数の牧場を訪問し、1歳馬を中心に見学をしました。
馬によって色や形、筋肉量、性格などが違うので、見ながら将来の活躍を想像すると面白いです。
牧場の環境も場所によって様々なので、育成環境が馬の成長に与える影響も大きそうですね。
牧場見学の注意点
競走馬の生産牧場は、観光客向けの牧場ではないため、一般の方の見学を受け付けていない場合があります。
また、牧場へ直接連絡したり、連絡せずに訪問することは、牧場の方のお仕事の邪魔になるなどの迷惑行為となります。
牧場見学を計画される場合は「競走馬のふるさと案内所」へお問い合わせください。
【参考】
競走馬のふるさと案内所 http://uma-furusato.com/
牧場見学の9箇条 http://uma-furusato.com/guide/rule
北海道で生まれた馬が競馬場で走るまで
北海道で生まれた馬が、競馬場で開催されるレースで走るまでに、多くの過程があります。
サラブレッドの多くは春に生まれ、1歳の夏頃までの約1年半は、放牧地で自由に走らせる中で体を成長させていきます。
その後は馬の成長具合にもよりますが、1歳の秋頃から「馴致」と呼ばれる人を乗せて走る訓練が開始され、人を乗せての調教が行われます。周回コースや坂路コースで脚力と心肺機能を鍛えたり、集団の中で我慢して走ることを覚えさせます。多くの場合、ここまでの過程は北海道内で行われます。
2歳になりレースデビューが近づくと、所属厩舎近くの調教施設に移動してさらに調教を積んで体を作り上げ、そして調教師や騎手のいるトレーニングセンターに入ります。
JRAのトレーニングセンターは、滋賀県の栗東トレーニングセンターと茨城県の美浦トレーニングセンターがあります。
トレーニングセンターに入厩したあとは、ゲートからの発走がスムーズに出来るかを確かめる「ゲート試験」があり、ゲート試験に合格すると、やっとレースデビューすることができます。
こうしてデビューまでの過程を乗り越えてきた馬が、競馬場に運ばれてきて、レースで勝負するのです。
そう思うと全部の馬を応援したくなっちゃいますね!
ぜひ競馬場へ足を運んで、迫力あるレースを体感してみましょう!
投稿日:2017.09.29